「事実と違う口コミを書かれた。Googleに削除依頼を出せば消してもらえるのか」
「業者から『確実に消せます』と電話が来たけれど、頼んで大丈夫だろうか」
低評価の口コミは、院長先生にとって本当に気が重いものです。
ただ、Googleへの削除依頼には通る口コミと通らない口コミの線引きがあり、そこを知らずに動くと時間だけが過ぎてしまいます。
Googleは2025年だけで、ポリシーに違反するクチコミを2億9,200万件以上ブロック・削除したと公表しています(Google 公式ブログ 2026年4月)。
一方で、公式ヘルプには「削除の対象となるのは Google のポリシーに違反しているクチコミのみ」「Google は、事業者とユーザー間の紛争には関与しません」とも書かれています。
つまり、削除されるかどうかは「事実と違うか」ではなく「ポリシー違反か」で決まります。
この記事では、Googleの公式ヘルプ・法令・厚生労働省の資料をもとに、次の順で整理します。
- 削除依頼が通る口コミ・通らない口コミ
- Googleへの削除依頼の手順(2026年9月時点の画面)
- 通らなかったときの選択肢と、法的手段の費用
- 歯科医院だからこそ気をつけたいこと
悪い口コミへの返信の書き方は、別の記事で例文つきで解説しています。
結論——削除依頼が通るのは「Googleのポリシー違反」だけ

先に結論をまとめます。
- 削除依頼(Googleへの報告)は、誰でも無料で出せます。
- ただし削除されるのは、Googleの「禁止および制限されているコンテンツ」に当たる口コミだけです。
- 「内容が事実と違う」「厳しい評価で不満だ」というだけでは、削除されないのが原則です。
- ポリシー違反に当たらないけれど権利侵害(名誉毀損など)に当たる場合は、法的な手続きという別の道があります。
まずは、目の前の口コミがポリシー違反に当たるかどうかを見極めるところから始めます。
削除依頼できる口コミ・できない口コミ——Googleポリシーの線引き

Googleのポリシーのうち、歯科医院で関係しやすいものを表にまとめます(出典:Google マップ ユーザー投稿コンテンツのポリシー「禁止および制限されているコンテンツ」)。
| ポリシーの区分 | 歯科医院で起こりうる例 |
|---|---|
| 虚偽のエンゲージメント | 受診していない人の投稿、同じ人が複数のアカウントで投稿 |
| 評価の操作(利益相反) | 競合の医院の関係者・元スタッフ・家族による投稿 |
| 関連性のないコンテンツ | その医院での体験に基づかない、一般的な不満や社会的な主張 |
| 不適切なコンテンツ | 「非倫理的な行動や犯罪行為に関する根拠のない主張」、他者への攻撃 |
| ハラスメント | 脅迫、特定の人を晒す投稿 |
| 個人情報 | 同意なく投稿されたスタッフの氏名や顔写真、他の患者さんの医療情報 |
| 宣伝と勧誘 | 他院や商品の宣伝、連絡先やリンクの書き込み |
反対に、削除されにくい口コミもあります。
- 「待ち時間が長かった」「説明がわかりにくかった」など、実際の体験にもとづく不満。ポリシーは「不快な体験でも、節度や尊敬の念を持って表現しているコンテンツは許可されます」としています。
- 院長の実名を挙げた批判。医師のように自身の名前でビジネスを行う専門家の氏名は、個人情報の例外とされています。
- 本文がなく星の数だけの低評価。低評価であること自体は、違反の区分に入っていません。
判断に迷ったら、「どの区分に当たるか」を1つ言えるかどうかを目安にしてください。
区分を言えない口コミは、報告しても通らない可能性が高いと考えられます。
Googleへの削除依頼の手順——2026年9月時点の画面

報告の方法は2つあります。
どちらもGoogleビジネスプロフィールのオーナー(または管理者)のアカウントで行います(出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」)。
方法A:ビジネスプロフィールから報告する
- ビジネスプロフィールを開き、[クチコミを読む]を選ぶ
- 報告したいクチコミの横の[報告]を選ぶ
- 理由を選ぶ(例:[スパム][冒とく的な表現])
- [報告を送信]を押す
方法B:クチコミ管理ツールから報告する
- Googleの「クチコミ管理ツール」を開き、アカウントを[確認]する
- ビジネスを選んで[続行]→[新しいクチコミの削除をリクエストする]→[続行]
- クチコミの横の[報告]を選び、開いたタブで理由を選んで[送信]
状況の確認と、再審査の請求
審査には「通常数日」かかるとされています。
状況はクチコミ管理ツールで確認でき、表示は次の3つです。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| 判定待ち | まだ審査中 |
| 審査完了 – ポリシー違反なし | 違反なしと判断され、口コミは残る |
| エスカレーション済み – メールで最新情報をご確認ください | 再審査に回っている。結果はメールで届く |
「ポリシー違反なし」と判断された口コミには、再審査を1回だけ請求できます。
クチコミ管理ツールの[報告したクチコミのステータスと再審査請求の方法を確認したい]から進み、一度に選べるのは10件までです。
再審査を出すときは、どのポリシー区分に当たるのかを具体的に書くことが大切です。
「事実と違う」という説明だけでは、判断が変わりにくいと考えられます。
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削除依頼が通らなかったときの3つの選択肢

① 返信で、ほかの患者さんに向けて事実を伝える
口コミへの返信は、投稿者だけでなく、これから医院を探す人も読みます。
感情的に反論せず、改善したことや医院の方針を短く伝えるほうが、結果として医院の印象を守ります。
ただし、返信にその患者さんの受診内容を書いてはいけません。
歯科医師には刑法134条の守秘義務があり、「◯月◯日に来院され…」といった書き方は、患者さんの同意のない情報の開示にあたるおそれがあります(個人情報保護法27条)。
② 権利侵害に当たるなら、法的な手続きを検討する
名誉毀損など権利侵害が明らかな投稿は、Googleの「法的な理由でコンテンツを報告する」窓口から削除を求める方法があります。
それでも消えない場合は、弁護士に相談して裁判所の手続きを使う道があります(次の章で解説します)。
③ 良い口コミが自然に集まる仕組みを整える
1件の低評価を消すことに力を使い続けるより、日々の口コミを増やすほうが、評価全体への影響は大きくなります。
頼み方の例文とタイミングは、次の記事でまとめています。
法的手段と費用——開示請求と削除の仮処分

2025年4月、プロバイダ責任制限法は「情報流通プラットフォーム対処法」に改正・改称されました(総務省)。
口コミの投稿者を特定したい場合や、削除を求めたい場合に関係する法律です。
| 目的 | 手続き | ポイント |
|---|---|---|
| 投稿者を特定したい | 発信者情報開示命令の申立て(裁判所) | 権利侵害が明らかであることなどが要件。この手続きでは投稿は消せない |
| 投稿を消したい | 削除の仮処分など、保全命令の申立て(裁判所) | 弁護士への依頼が一般的 |
費用について、一次資料で確認できるものと、目安にとどまるものを分けておきます。
- 裁判所への申立手数料:発信者情報開示命令・提供命令・消去禁止命令は、それぞれ1,000円(東京地方裁判所)。
- 弁護士費用:法律事務所の公開情報では、削除の仮処分で30万〜50万円程度という例があります。事務所や事案によって大きく変わるため、必ず見積もりを取ってください。
もう1つ、よくある誤解があります。
改正法では、大規模なプラットフォーム事業者に「削除の申出から7日以内に判断して通知する」義務が定められました(法25条・施行規則16条)。
ただし、総務省が指定したGoogleのサービスはYouTubeで、Googleマップの口コミは指定の一覧に入っていません(2026年9月時点)。
「Googleの口コミは7日で回答が来る」という説明は、正確ではないと考えられます。
歯科医院だからこそ気をつけたい4つのこと

① 悪い口コミだけを消してもらう依頼は、広告規制の論点になる
厚生労働省の医療広告ガイドラインQ&A(A1-18)は、医療機関の依頼で口コミサイトが否定的な体験談を削除するなど、医療機関に有利に編集した場合に「誘引性」が生じるとしています。
ただし、名誉毀損などの違法な投稿の削除は除かれています。
「不利な口コミを消して、良い口コミだけを残す」発想は、ガイドライン上も避けるのが安全です。
② 「確実に削除します」という業者に注意する
自分でGoogleに報告するのは誰でもできます。
一方、権利侵害を理由に削除を求める交渉などを、弁護士でない業者が報酬を得て代行することは、弁護士法72条(非弁行為の禁止)の論点になります。
削除を業者に頼む場合は、弁護士が対応するのかを必ず確認してください。
③ 口コミの見返りは、歯科でも措置命令が出ている
2025年3月、消費者庁は歯列矯正の歯科医院に措置命令を出しました。
Googleマップに★5の口コミを投稿することを条件に、QUOカード5,000円分または治療費5,000円の割引を提供していたことが、ステルスマーケティング規制に違反するとされた事例です(消費者庁 2025年3月17日)。
④ 「削除と引き換えにお金を」は恐喝。支払わずに報告する
偽の低評価を大量に書き込み、削除と引き換えに支払いを求める手口が報告されています。
Googleは販売者向けに恐喝の専用報告フォームを用意しており、相手とやり取りしたり支払ったりしないよう案内しています(Google ビジネス プロフィール ヘルプ)。
スクリーンショットや、口コミが急に増えた日時などの記録を残しておきましょう。
今日からできる一歩
今日の一歩は、気になっている口コミを1件選び、「ポリシーのどの区分に当たるか」を書き出してみることです。
- 区分が言える——方法A・Bで報告し、クチコミ管理ツールで状況を確認する
- 区分が言えない——削除ではなく、返信の文面を整える
- 権利侵害が明らか——記録を残して弁護士に相談する
削除できるかどうかの見極めに時間をかけすぎず、返信と日々の口コミづくりに力を移すことが、結果として医院の評価を守ります。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 削除依頼に費用はかかりますか?
Googleへの報告・再審査の請求は無料です。
費用がかかるのは、弁護士への依頼や裁判所の手続きを使う場合です(申立手数料は各1,000円、弁護士費用は事務所ごとに異なります)。
Q2. 報告したことは、投稿者に知られますか?
Googleの公式ヘルプには、この点についての明確な記載が見当たりません。
報告は医院のアカウントで行うため、通知の有無を前提にした対応はしないのが安全です。
Q3. 審査にはどのくらいかかりますか?
公式ヘルプでは「通常数日」とされています。
再審査の日数は公開されていないため、クチコミ管理ツールで状況を確認しながら待ちます。
Q4. 星1つだけで本文のない口コミは消せますか?
低評価であること自体は、ポリシー違反の区分に入っていません。
明らかに受診していない人の投稿などで、別の区分(虚偽のエンゲージメントなど)に当たる場合に報告を検討します。
Q5. 投稿者を特定して、直接削除をお願いできますか?
Googleに頼んで投稿者を教えてもらうことはできません。
特定には裁判所の発信者情報開示命令の手続きが必要で、権利侵害が明らかであることなどが要件になります。
まずは弁護士に相談してください。
参考にした一次資料
- ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する|Google ビジネス プロフィール ヘルプ
- 禁止および制限されているコンテンツ|Google マップ ユーザー投稿コンテンツ ポリシー
- Google マップでビジネスを保護する新たな取り組み|Google 公式ブログ(2026年4月)
- 販売者に対する恐喝の報告|Google ビジネス プロフィール ヘルプ
- インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)|総務省
- 発信者情報開示命令事件について|東京地方裁判所
- 医療広告ガイドラインに関するQ&A|厚生労働省
- 医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について|消費者庁(2025年3月)
本記事は2026年9月26日時点の情報です。Googleの画面や手順は変更されることがあります。個別の法的判断は弁護士にご相談ください。
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この記事の監修:現役歯科医師(Dentique Atelier代表)
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