歯科医院のWebマーケティングは内製と外注どっち?|業務別の切り分け早見表とマーケ会社4タイプの選び方

目次

結論:「全部内製」も「全部おまかせ」も失敗します

結論:「全部内製」も「全部おまかせ」も失敗します

「SNS運用代行の営業から月8万円の提案が来た。頼むべきか、自分でやるべきか」

「開業以来ぜんぶ自分でやってきたけれど、正直もう手が回らない」

内製か外注かの悩みは、多くの場合「どちらか一方に全部寄せよう」とするから答えが出なくなります。

実務の現場で見てきた失敗は、きれいに2パターンに分かれるからです。

全部内製の医院は、院長の時間が尽きて止まります。

ブログは3ヶ月で更新が途絶え、Instagramは最後の投稿が半年前のまま——これは診療をしながら発信を続ける大変さを考えれば、意志の問題ではなく構造の問題です。

一方、全部おまかせの医院は、お金を払っているのに効果が見えなくなります。

業者には書けない院内の情報が空洞化し、「毎月何にいくら払って、新患が何人増えたのか」に誰も答えられなくなるからです。

結論はシンプルです。

業務ごとに「内製に向くもの」と「外注に向くもの」を切り分け、任せる業務だけを信頼できる相手に任せる。

この記事では、切り分けの早見表、マーケ会社4タイプの選び方、契約前に危ない会社を見抜くサインまでを順に解説します。

施策そのものの全体像と進める順番は、親記事をご覧ください。

内製と外注の切り分け早見表——「材料が院内にあるか」で決まります【一覧表】

内製と外注の切り分け早見表——「材料が院内にあるか」で決まります【一覧表】

切り分けの物差しは、たったひとつです。

その業務の「材料」が院内にあるか、それとも市場で買えるか。

患者さんへの口コミのお願いや院内の写真は、世界中どこのマーケ会社もお金では作れません。

逆に、デザインの技術や広告運用の知識は、市場で買ったほうが早くて確実です。

業務向き理由(お金で買えるものは何か)外注する場合の月額目安
ホームページ制作外注向きデザイン・システムの専門技術は市場で買える。学ぶ時間で診療したほうが割に合う制作30万〜150万円(初期)+保守5,000円〜2万円
HPに載せる原稿・写真内製(協力必須)診療方針・院内の雰囲気・スタッフの言葉は院内にしかない。丸投げすると「どこにでもあるHP」になる——(外注しても素材提供は必要)
Googleビジネスプロフィール(MEO)内製向き診療時間・写真・最新情報の材料はすべて院内。代行がやれるのは入力代行まで代行1万〜5万円(推奨は自院運用0円)
口コミの依頼・返信内製のみ患者さんとの接点そのもの。ここを外注で解決する方法は原則ない(やらせ購入は規約違反・景表法リスク)——(ツール利用は5,000円〜)
SEO・ブログ記事折衷症例の知見・患者さんの質問はネタとして院内にしかないが、記事に仕上げる作業は外注できる記事外注1本1万〜5万円
SNS(Instagram等)折衷院内の写真・現場ネタは内製、デザインと編集は外注可。丸投げは素材切れで失速する運用代行5万〜15万円
Web広告の運用外注向き媒体の仕様変更を追い続ける時間と運用ノウハウは市場で買える広告費5万〜20万円+手数料(広告費の約20%)
効果測定・数字の確認内製のみ「その費用を続けるか」の経営判断は院長にしかできない。レポート作成は外注できても判断は買えない——

表の読み方のポイントは、「外注向き」の業務でも材料の提供は院内の仕事として残る、ということです。

そして「内製のみ」と書いた口コミと効果測定は、予算がいくらあっても外注で置き換えられません。

各施策の費用相場のより詳しい内訳は、費用専用の記事にまとめています。

外注しても、なくならない「院長の仕事」は3つあります

外注しても、なくならない「院長の仕事」は3つあります

「外注する=その業務を忘れて良い」ではありません。

ここを誤解したまま契約すると、良い会社に頼んでも失敗します。

どれだけ任せても院長の手元に残る仕事は、次の3つです。

1つ目は、方針を決めることです。

「どの診療を伸ばしたいか」「どんな患者さんに来てほしいか」は、マーケ会社が一番よく聞きたいのに、一番答えてもらえない質問です。

ここが曖昧なままだと、業者は当たり障りのない一般的な施策しか打てません。

2つ目は、院内の一次情報を渡すことです。

写真・院内の取り組み・患者さんからよく受ける質問——発信の材料を毎月少しずつ渡す仕組みがある医院ほど、外注の成果は上がります。

3つ目は、数字を見ることです。

といっても、分析の勉強は要りません。

月1回、レポートの「新患数」「問い合わせ数」「費用」の3つを見て、疑問があれば質問する。

それだけで業者側の緊張感はまったく変わります。

逆に言えば、この3つ——月に合計1〜2時間ほど——さえ確保できれば、残りの実務はすべて任せてかまいません。

「外注=丸投げ」ではなく「外注=実務だけ手放す」と捉え直すのが、成功する医院の共通点です。

ケース別の最適解——あなたの医院はどれに当てはまりますか

ケース別の最適解——あなたの医院はどれに当てはまりますか

切り分けの原則が分かったところで、医院の状況別に現実的な組み方を示します。

ご自身に近いケースからお読みください。

ケース1:開業直後で、資金は限られるが時間は作れる

HP制作だけ外注し、それ以外はすべて内製が正解です。

Googleビジネスプロフィールの整備と口コミの仕組みづくりは0円ででき、開業期の集患の土台になります。

広告や運用代行は、土台が整って資金が回り始めてからで間に合います。

ツールやAIを使ってHP自体を自作する選択肢も、いまは現実的になりました。

ケース2:院長1人で、とにかく時間がない

内製は「口コミの依頼・返信」と「月1回の数字確認」の2つだけに絞ってください。

この2つは1日5分と月1時間で回せて、かつ外注で置き換えられない業務だからです。

広げる施策は、優先順位がいちばん高いもの1つだけを外注します。

2つ以上を同時に始めると、材料の提供も数字の確認も追いつかなくなります。

ケース3:スタッフに任せたい

担当者と「業務時間内の作業時間」をセットで決めるのが条件です。

「手が空いたときにやって」は、確実に止まります。

週に何時間をどの業務に使うかを決め、投稿や更新の頻度は無理なく続く水準に設定してください。

スタッフの負担設計を誤ると、発信より先に人間関係が壊れます。

ケース4:すでに外注しているが、効果が分からない

解約の前に、まず直近3ヶ月のレポートを見て「新患数・問い合わせ数・費用」が書かれているかを確認してください。

数字の報告がない場合は、「新患1人あたりいくら掛かっているか知りたい」と質問します。

誠実な会社なら計算方法ごと答えてくれますし、答えられない会社なら、それが契約を見直すサインです。

感覚で切らず、数字で判断するのが損をしない順番です。

マーケ会社は4タイプ——「どこに何を頼むか」で選びます【比較表】

マーケ会社は4タイプ——「どこに何を頼むか」で選びます【比較表】

外注する業務が決まったら、次は相手選びです。

ひとくちに「マーケ会社」と言っても、実態は4つのタイプに分かれます。

タイプを間違えると、良い会社に頼んでも噛み合いません。

タイプ得意なこと向いている医院費用感注意点
制作会社HP・LPなど「作る」仕事受け皿をこれから作る/リニューアルしたい医院初期30万〜150万円+保守作った後の集患改善(運用)は専門外のことが多い
単施策の代行会社
(SNS・MEO・記事など)
特定の施策を回し続ける実務任せたい施策が1つに決まっている医院月5万〜15万円自社が売る施策を勧める構造のため、「その施策が今の優先か」は自院で判断が必要
広告代理店Web広告の運用・改善土台が整い、広告に月10万円以上を掛けられる医院広告費+手数料約20%広告の外=HPや口コミの弱さまでは直してくれない
総合支援・コンサル全体設計・優先順位づけ・実行管理何から手を付けるべきか自体を整理したい医院月3万〜15万円実務(制作・運用)は別料金や別会社になる場合がある。「診断と設計」が本体

選ぶ順番は、「会社を探してから頼むことを決める」のではなく、「頼む業務を決めてからタイプを絞る」です。

もうひとつの論点は、歯科専門かどうか。

専門会社は医療広告ガイドラインや歯科の患者行動を説明なしで分かってくれる強みがあり、一般の会社は地域の相場感やデザインの引き出しに強みがあります。

どちらが上ではなく、「医療広告のルールを知っているか」を確認質問でクリアできるなら、一般の会社でも問題ありません。

なお、施策別の代行会社の選び方は、それぞれ専用記事で詳しく解説しています。

契約前に見抜く——危ない会社の7つのサインと確かめる質問

契約前に見抜く——危ない会社の7つのサインと確かめる質問

最後に、タイプを問わず共通する「危ない会社」のサインをまとめます。

着物の仕立てにたとえるなら、採寸をせずに「この着物が売れています」と勧めてくる仕立て屋は、それだけで信用できません。

マーケ会社も同じで、御院の現状を測らずに施策を売る会社から、順に警戒してください。

危ないサインなぜ危ないか契約前に確かめる質問
①現状分析なしで施策を提案してくる御院の課題ではなく「自社が売りたいもの」を売っている可能性が高い「提案の前に、うちの現状をどう診断しましたか?」
②成果の定義がない(「投稿します」「更新します」だけ)作業の約束だけでは費用対効果を計算できない「この契約の成果は何の数字で測りますか?」
③順位保証・件数保証をうたう検索順位は保証できない仕組み。保証の実態が規約違反の手法なら、ペナルティを受けるのは医院側「保証の根拠と、規約違反にならない理由を教えてください」
④長期縛り+解約時に何も残らない月額が安く見えても総額で高くつき、やめる自由もない「解約したら、HP・アカウント・データはどうなりますか?」
⑤レポートが「やったこと」の羅列だけ数字のない報告は、効果が出ていないことを隠せてしまう「毎月どの数字を報告してもらえますか?」
⑥医療広告ガイドラインを知らないビフォーアフターや体験談の扱いを誤ると、行政指導のリスクを医院が負う「医療広告ガイドラインで気を付けている点は?」
⑦初回から全施策セットの大型提案優先順位のない全部盛りは、予算の最大化が目的になっている疑いがある「予算が半分なら、どれから削りますか?」

7つの質問は、そのまま商談で使えるチェックリストです。

誠実な会社ほど、この質問を歓迎します。

答えに詰まる・話をそらす・急かしてくる——そのどれかが出たら、金額がいくら魅力的でも見送りが正解です。

反対に、契約を急がせず、まず御院の現状を測るところから始める会社は、その姿勢だけで一定の信頼に値します。

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よくある質問(FAQ)

歯科専門のマーケ会社と、地元の一般的な会社、どちらが良いですか?

優劣ではなく、確認すべき点が違います。

専門会社には「歯科での実績を数字で見せてください」、一般の会社には「医療広告ガイドラインの経験はありますか」と質問してください。

どちらの答えも具体的なら、あとは相性と費用で選んで問題ありません。

コンサルタントとの顧問契約は必要ですか?

「何から手を付けるべきか自体が分からない」段階では価値があります。

逆に、やることが1つに決まっているなら、その施策の代行会社に直接頼むほうが費用は効率的です。

顧問契約する場合も、「半年後に何がどうなっていたら成功か」を最初に言葉にしてもらいましょう。

いまの外注をやめたいのですが、やめたらHPやアカウントはどうなりますか?

契約書の「著作権・所有権・解約時の取り扱い」の条項で決まります。

HPのデータやドメイン、SNSアカウントの管理権限が医院側にあるかを、やめる前に必ず確認してください。

もし業者側にある場合も、交渉で引き渡してもらえるケースは多いので、感情的にならず事務的に進めるのがコツです。

複数の会社を比べたいのですが、何で比べれば良いですか?

金額ではなく、「7つの質問への答え方」で比べてください。

特に「成果の定義」「解約時に残るもの」「毎月の報告数字」の3つは、答えを紙に書き出して横に並べると差がはっきり見えます。

相見積もりは2〜3社で十分です。

まとめ——今日からできる一歩

内製と外注の考え方をまとめます。

切り分けの物差しは「材料が院内にあるか、市場で買えるか」。

口コミと効果測定は予算があっても内製、制作と広告運用は外注向き、SEOとSNSは折衷。

外注しても「方針を決める・材料を渡す・数字を見る」の3つは院長の仕事として残る。

そして会社選びは、頼む業務を決めてからタイプを絞り、7つの質問で見抜く。

この順番なら、営業トークに流されずに判断できます。

今日からできる一歩は、最初の早見表を見ながら、いま自院でやっている業務と外注している業務を紙に書き出すことです。

10分で終わります。

「内製のみ」の業務が外に出ていないか、「外注向き」の業務で院長の時間が溶けていないか——ずれている場所が、最初に直すべき体制の穴です。

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