医療広告ガイドライン【2026年改正】歯科医院のHP・インスタで書けること

医療広告ガイドラインと歯科医院のホームページ・インスタ

「ホームページに患者さんの感謝の声を載せたいけれど、大丈夫だろうか」

「インスタで症例写真を出したい。どこまで書けばいいのか分からない」

歯科医院の発信では、こうした迷いがつきものです。

その判断の基準になるのが、厚生労働省の医療広告ガイドラインです。

ガイドラインは2026年3月30日に改正され、正式名称が「医療広告等ガイドライン」に変わりました。

同じ日に、違反事例をまとめた「事例解説書」も第6版になり、SNS・動画の事例が大きく増えています。

この記事では、厚生労働省の一次資料をもとに、歯科医院のホームページとSNSで「書けること・書けないこと」を次の順で整理します。

  • そもそも何が「広告」に当たるのか
  • 広告で禁止されている7つのこと
  • 患者さんの声・口コミ・ビフォーアフター写真の扱い
  • 自由診療を載せるための「限定解除」の4条件
  • 診療科名・専門医など、歯科ならではの注意点
  • インスタ・SNSで気をつけること
  • 公開前の5項目チェックリスト
目次

結論——HPもインスタも「広告」。守ることは3つに集約できる

医院のホームページも公式インスタも医療広告に当たる

先に結論をまとめます。

  • 医院のホームページ、Instagramなどの公式アカウント、Google広告、看板、チラシは、どれも医療広告の規制対象です。
  • 守ることは大きく3つです。①禁止されている表現を使わない ②広告できる事項の範囲で書く ③自由診療を詳しく載せるなら「限定解除」の条件を満たす。
  • 違反しても、通常はまず保健所などからの行政指導です。
    ただし、指導に従わない場合は命令や罰則に進むことがあります。

「広告が出せない」のではなく、線引きを知ったうえで出すものだと考えると、ぐっと扱いやすくなります。

医療広告ガイドラインとは——2026年3月の改正で何が変わった?

医療広告ガイドラインは、医療法にもとづく広告規制の具体的な運用を示した厚生労働省の指針です。

2018年6月の施行で、それまで原則として対象外だった医療機関のウェブサイトも規制対象になりました。

2026年3月30日の改正のポイントは、次のとおりです。

項目内容
名称「医療広告ガイドライン」→「医療広告等ガイドライン」
主な追加2025年の医療法改正で新設された「オンライン診療受診施設」の広告ルール
事例解説書第6版に更新。自由診療の限定解除が不十分な事例と、SNS・動画の事例を拡充
Q&A同日に最終改正

改正の中心はオンライン診療受診施設の追加で、歯科医院のHP・SNSの基本ルール(禁止事項・限定解除)はこれまでの考え方が続いています。

一方で、事例解説書にSNSの章が加わったことは見逃せません。

インスタで発信している医院は、後半の「SNSで気をつけること」を必ず確認してください。

なお、厚生労働省は委託事業として「医療機関ネットパトロール」を行い、ウェブサイトの監視と通報の受付をしています。

広告に当たるかどうか——3つの要件で判断する

ガイドラインでは、次の3つをすべて満たすものを医療広告と判断します。

  1. 誘引性:患者さんの受診を誘う意図があること
  2. 特定性:医院名や歯科医師名が特定できること
  3. 医業・歯科医業や医院に関する内容であること

医院の公式ホームページや公式アカウントは、ほぼ確実にこの3つを満たします。

ガイドラインが広告の媒体として挙げるのは、チラシ・パンフレット、看板・ポスター、新聞・雑誌・放送、Eメールやインターネット上の広告、説明会で使うスライドや口頭の説明などです。

反対に、通常は広告とみなされないものもあります。

  • 学術論文や学会発表
  • 新聞や雑誌の記事(医院が費用を払って書かせたものは除く)
  • 患者さん自身がSNSや口コミサイトに書く体験談(医院が費用負担などで依頼したものは除く)
  • 院内の掲示や、院内で配るパンフレット
  • 職員募集の広告

「広告と言われないように、医院名を伏せて書こう」という工夫は通用しません。

ガイドラインは、規制を避ける意図で形だけ要件を外したものも、実質的に広告と判断するとしています。

広告で禁止されている7つのこと——歯科医院での例つき

医療広告で禁止されている7つのこと

医療法と省令で禁止されている広告を、歯科医院で起こりやすい例と一緒にまとめます(出典:医療広告等ガイドライン 第3-1)。

禁止されていること歯科医院で起こりやすい例
虚偽広告「絶対に痛くない治療」「必ず治ります」
比較優良広告「地域No.1」「日本一の症例数」「〇〇市で一番」
誇大広告「厚生労働省認定の医院」(施設基準の届出を認定のように書く)
公序良俗に反する広告わいせつ・残虐な表現
広告可能事項以外の広告限定解除の条件を満たさない媒体で、治療の効果などを載せる
体験談「患者さんの声」「〇〇さんの感想」をHPやインスタに載せる
誤認させるビフォーアフター写真写真だけで、治療内容・費用・リスクの説明がない症例写真

このほか、ガイドラインは次のような広告も「品位を損ねる」として厳に慎むよう求めています。

  • 費用を強調した広告:「今ならキャンペーン中」「期間限定で50%オフ」「〇〇治療し放題プラン」
  • 医療と関係のないことで誘う広告:「無料相談の方全員に〇〇をプレゼント」
  • ふざけた表現、ドタバタ的な表現

「最新の治療法」「最新の医療機器」という表現は、医学的・社会的な常識の範囲で事実と認められれば、必ずしも禁止ではありません。

ただし、求められたら根拠を示せる必要があり、より新しいものが定着した後も「最新」と書き続けると、虚偽・誇大に当たるおそれがあります(医療広告等ガイドラインQ&A)。

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患者さんの声・口コミ・ビフォーアフター写真はどう扱う?

患者さんの体験談は広告に載せられない

患者さんの体験談は、内容に関係なく載せられない

治療の内容や効果についての患者さんの体験談は、医院のHPやSNSでは広告できません。

ガイドラインは、体験談の内容が広告できる範囲のことであっても認められないと明記しています。

感じ方は患者さんごとに違い、誤解を与えるおそれがあるためです。

Googleの口コミを医院が選んでHPに転載するのも、同じ扱いです。

Q&Aでは、医院にとって都合のよい感想を選んで強調することは、虚偽・誇大に当たるとしています。

一方で、患者さんが自分でGoogleマップや口コミサイトに書く口コミは、医院が費用負担などで依頼していなければ広告には当たりません。

口コミを集めるときの注意点は、ステマ規制の記事で詳しく解説しています。

ビフォーアフター写真は「説明とセット」なら載せられる

ビフォーアフター写真は説明とセットで載せる

治療前後の写真は、写真だけを載せると禁止の対象になります。

次の説明を写真と同じ場所に付ければ、禁止には当たりません。

  • 通常必要とされる治療の内容
  • 費用
  • 治療の主なリスクや副作用

注意したいのは、説明の置き場所です。

リンク先のページに説明を置く、長所に比べて極端に小さな文字で書くといった形は認められていません。

なお、治療の効果はもともと広告できる事項ではありません。

そのため症例写真は、次に説明する「限定解除」の条件を満たしたホームページなどでのみ載せられます。

自由診療を載せるなら「限定解除」の4条件

自由診療の限定解除の4条件

医療広告では、法律や告示で認められた事項(診療科名、診療時間、医師の略歴など)しか広告できないのが原則です。

ただし、次の①〜④をすべて満たせば、それ以外の事項も載せられます。

これを「限定解除」といいます(③④は自由診療の場合)。

条件具体的に必要なこと
① 患者さんが自ら求めて見る情報であること医院のホームページ、メルマガ、求めに応じて送るパンフレットなど
② 問い合わせ先を書くこと電話番号やメールアドレスなど
③ 自由診療の内容・費用を書くこと通常必要な治療内容、標準的な費用、治療期間、回数
④ 自由診療の主なリスク・副作用を書くこと起こりうる主なリスクや副作用

押さえておきたい点が3つあります。

  • バナー広告やリスティング広告は①を満たしません。
    Google広告の文面では、限定解除が必要な内容は書けないと考えてください。
  • 費用は「〇〇円〜」の最低額だけでは足りません。
    標準的な費用が決まっていない場合は、よくある追加費用を含めて最低額から最高額までの幅で示します。
  • 費用やリスクを、リンク先のページや極端に小さな文字に追いやる書き方は認められていません。

未承認の医薬品・医療機器を使う場合は、さらに5項目

国内で薬機法の承認を得ていない医薬品・医療機器を自由診療で使う場合は、限定解除の条件として次の5項目も必要です。

歯科では、マウスピース型矯正装置の一部などが該当しうるため、使っている製品の承認状況を確認してください。

  1. 未承認であること
  2. 入手経路(医師の個人輸入ならその旨)
  3. 国内で承認された同じ成分・性能の製品があるかどうか
  4. 諸外国での承認状況と、重大な副作用などの安全性情報
  5. 医薬品副作用被害救済制度などの対象にならないこと

承認を受けたインプラントを使う治療や、承認を受けた薬剤を使うホワイトニングは、自由診療である旨と標準的な費用を書けば広告できます(医療広告等ガイドラインQ&A)。

歯科ならではの注意——診療科名・専門医・施設基準

審美歯科やインプラント科は診療科名として名乗れない

診療科名は4つとその組み合わせだけ

歯科で広告できる診療科名は、「歯科」「矯正歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」です。

「小児矯正歯科」のような決められたルールでの組み合わせは認められています。

一方、ガイドラインは「インプラント科」「審美歯科」を、法令に根拠のない名称として診療科名に使えない例に挙げています。

「審美治療」という言葉も、どの治療を指すのかが明確でないため、通常の広告ではできません(限定解除の条件を満たしたHPなら可)。

広告できる歯科の専門医は5つ

厚生労働省が公表している、広告できる歯科医師の専門性の資格名は次の5つです(2026年9月時点で確認)。

  • 口腔外科専門医(日本口腔外科学会)
  • 歯周病専門医(日本歯周病学会)
  • 歯科麻酔専門医(日本歯科麻酔学会)
  • 小児歯科専門医(日本小児歯科学会)
  • 歯科放射線専門医(日本歯科放射線学会)

この一覧にない学会の認定医・専門医を、広告で「〇〇専門医」と書くことはできません。

略歴として書く場合も、一覧にあるかどうかを先に確認するのが安全です。

施設基準は「届出済み」と書く

事例解説書には、「口腔管理体制強化加算」などの施設基準を、厚生労働省が特別に認定したかのように書く例が誇大広告として載っています。

施設基準は医院が要件を満たしたことを届け出るものなので、「〇〇の届出をしています」と事実を書きます。

インスタ・SNSで気をつけること——2026年の事例解説書から

SNSでは詳しくはHPでだけでは足りない

事例解説書(第6版)は、SNSの医療広告をプロフィール・投稿・返信の3つで捉えています。

このどこか1つに禁止事項があれば違反になります。

SNSで特に押さえたいのは、次の4点です。

  • 自由診療の費用・リスクは、プロフィール・投稿・返信の中でひとまとまりに示す。
    「治療内容・費用、リスクの詳細はホームページで」と返信で外へ誘導するだけの形は、違反の例として載っています。
  • 画像や動画の音声で伝える内容も、広告に当たります。
  • ハッシュタグも広告の一部です。投稿と関係のないハッシュタグで誘うのは不適切とされています。
  • 院長やスタッフの個人アカウントでも、医院が特定でき受診を誘う内容なら広告に当たります。

症例写真をインスタに載せる場合は、写真の近くで、治療の内容・費用・主なリスクを同じ投稿の中で読めるようにしてください。

固定した投稿に説明をまとめ、プロフィールでその場所を示す形も、分かりやすい例として紹介されています。

インスタ運用での具体的なOK・NGは、こちらの記事で詳しく解説しています。

違反するとどうなる?——指導、命令、罰則の順

ガイドラインが示す流れは、次のとおりです。

  1. 行政指導:違反が見つかると、通常はまず保健所などから広告の中止や修正を求められます。
  2. 中止命令・是正命令:指導に従わない場合や、違反を繰り返す悪質な場合に出されます。
  3. 罰則・行政処分:虚偽広告や命令違反には、医療法で6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(医療法第87条。ガイドラインの記載は2025年6月の刑法改正前の「懲役」)。悪質な場合は、管理者の変更命令などの行政処分もあります。

多くは指導の段階で直せば済みます。

とはいえ、ネットパトロールには誰でも通報できるため、公開前に確認する仕組みを作っておくことが一番の予防になります。

公開前の5項目チェックリスト

公開前の5項目チェックリスト

ホームページの更新やインスタの投稿の前に、次の5つだけ確認してください。

確認すること見直しの例
1. 比較・最上級の言葉がないか「No.1」「日本一」「一番」「絶対」「必ず」を削る
2. 患者さんの声・口コミを載せていないか感想の紹介や、Google口コミの転載を外す
3. 症例写真に説明が付いているか治療内容・費用・主なリスクを写真と同じ場所に書く
4. 自由診療に費用・期間・回数・リスクがあるか「〇〇円〜」だけでなく、標準的な費用や幅を示す
5. 費用の強調・特典・名称の誤りがないかキャンペーン・割引・プレゼントの強調、「審美歯科」「インプラント科」、一覧にない専門医の表記を直す

ホームページ全体をどう整えるかは、制作の完全ガイドでも解説しています。

今日からできる一歩

今日の一歩は、自院のホームページのトップページと、インスタの最新9投稿を、上のチェックリストで見直すことです。

  • 「No.1」「絶対」などの言葉が見つかった——その場で削る
  • 患者さんの声や口コミの転載があった——ページやハイライトから外す
  • 症例写真に説明がなかった——内容・費用・リスクを同じ投稿に書き足す

線引きを一度押さえておけば、発信のたびに迷う時間が減り、安心して情報を出せるようになります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 医院のホームページも本当に「広告」なのですか?

はい。

2018年6月から、医療機関のウェブサイトも医療広告の規制対象になっています。

ただし、患者さんが自ら求めて見る情報なので、限定解除の条件を満たせば、自由診療の詳しい情報も載せられます。

Q2. 患者さんからいただいた感謝の手紙を院内に貼ってもいいですか?

院内の掲示は、通常は広告とみなされないものの例に挙げられています。

ただし、同じ内容をホームページやSNSに載せると体験談の広告になるため、載せられません。

Q3. 「インプラント専門医」「矯正専門医」と書いてもいいですか?

2026年9月時点で厚生労働省が公表している、広告できる歯科の専門性の資格名は5つで、「インプラント」「矯正」の名前の資格は入っていません。

一覧にない資格名は広告に書けないため、公表の一覧を確認してから載せてください。

Q4. Google広告の文面で気をつけることは?

リスティング広告は、限定解除の条件①を満たさない媒体です。

広告文には広告可能な事項だけを書き、自由診療の詳しい内容は、条件を満たしたホームページの側で説明します。

Q5. 2026年3月の改正で、医院のサイトを直す必要はありますか?

改正の中心はオンライン診療受診施設の追加で、歯科医院のHP・SNSの基本ルールは続いています。

ただし事例解説書にSNS・動画の事例が加わったので、特にインスタの症例投稿と自由診療の説明は、この機会に見直すことをおすすめします。

参考にした一次資料

本記事は2026年9月27日時点の情報です。個別の表現が広告規制に当たるかどうかは、管轄の保健所などにご確認ください。

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この記事の監修:現役歯科医師(Dentique Atelier代表)

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