医療DX推進体制整備加算は廃止|歯科の後継加算と要件【2026】

医療DX推進体制整備加算の廃止と、後継の電子的歯科診療情報連携体制整備加算

「医療DX推進体制整備加算の届出、今年も出しておかないと」

「マイナ保険証の利用率、何%あれば算定できるんだっけ」

そう思って調べ始めた先生に、最初にお伝えしたいことがあります。

歯科の医療DX推進体制整備加算は、2026年6月の診療報酬改定で廃止されました。

同時に医療情報取得加算も廃止され、後継として「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」が新しくできています。

しかも、旧加算を届け出ていた医院も、6月以降は改めて届出が必要です(厚生労働省 疑義解釈資料その1・歯科 問2)。

検索すると旧制度のままの記事がまだ多く見つかるため、古い点数や要件のまま準備を進めてしまう例が起きやすい状況です。

この記事では、厚生労働省の告示・通知・疑義解釈を読み合わせて、次の順で整理します。

  • 何が変わったか(旧加算との違い)
  • 点数と、算定で間違えやすい3つのルール
  • 施設基準のチェックリスト(加算1・加算2)
  • マイナ保険証利用率30%の判定の仕方
  • 院内掲示とホームページへの掲載
  • 届出の出し方

なお、算定の可否の最終判断は、地方厚生局や地域の歯科医師会でご確認ください。

本記事は2026年9月26日時点で公表されている一次資料をもとにしています。

目次

結論——2026年6月から「電子的歯科診療情報連携体制整備加算」に変わりました

医療DX推進体制整備加算は廃止され、後継は電子的歯科診療情報連携体制整備加算

まず、名前と中身がどう変わったかを表にまとめます。

項目改定前(〜2026年5月)改定後(2026年6月〜)
加算の名前医療DX推進体制整備加算
医療情報取得加算
電子的歯科診療情報連携体制整備加算(旧2加算は廃止)
初診時医療DX推進体制整備加算1〜6(11点〜6点)加算1=9点/加算2=4点(月1回)
再診時医療情報取得加算(3月に1回・1点)2点(月1回・区分なし)
マイナ保険証利用率区分ごとに段階的に引き上げ30%以上(加算1・2共通)
届出—旧加算の届出があっても再届出が必要

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(歯科)」、診療報酬の算定方法の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第69号)、疑義解釈資料その1。

ポイントは2つです。

1つ目は、区分が6つから2つに整理され、再診時にも毎月2点が付くようになったこと。

2つ目は、利用率の要件が30%の一本になったことです。

点数と、算定で間違えやすい3つのルール

初診は加算1が9点・加算2が4点、再診は2点

点数そのものはシンプルです。

場面点数回数
初診時(加算1)9点月1回
初診時(加算2)4点月1回
再診時2点月1回

ただし、ここに3つの落とし穴があります。

「初診9点+再診2点」と足し算で紹介している記事もありますが、実際の算定はそうなりません。

① 同じ月に初診と再診の両方は算定できない

初診で算定した月に再診があっても、再診の2点は算定できません。

反対に、再診で算定した月に別の病気で初診があっても、初診の加算は算定できません。

医科の疑義解釈(その4 問4)で示され、歯科も「同様の取扱い」とされています(その6・歯科 問1)。

② 電話などによる再診では算定できない

歯科再診料の注8(電話等による再診)の場合は、この加算を算定しないと点数表に定められています。

③ 明細書発行体制等加算とは「どちらか一方」

この加算を届け出た医院は、再診時の明細書発行体制等加算(1点)を算定できません。

また、歯科訪問診療の在宅医療DX情報活用加算は、この加算を算定した月には算定できません。

施設基準のチェックリスト——加算2は8項目、加算1はもう1つ上乗せ

加算2の施設基準は8項目

施設基準は、加算2(と再診時の2点)の基本要件8つに、加算1だけの上乗せ要件が加わる形です。

#要件加算2・再診加算1
1オンライン請求を行っている必須必須
2詳細な明細書を無料で交付している必須必須
3オンライン資格確認の体制がある必須必須
4取得した診療情報を、診察室で歯科医師が閲覧・活用できる必須必須
5マイナ保険証利用率が30%以上必須必須
6マイナポータルの情報をもとに、健康管理の相談に応じる体制がある必須必須
7医療DXの取り組みなど3項目を院内に掲示している必須必須
87の掲示内容を、原則ホームページにも掲載している必須必須
9次のいずれか1つ:電子処方箋の体制/所定の電子カルテ/電子カルテ情報共有サービス等の活用—いずれか1つ

出典:基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示(令和8年厚生労働省告示第70号)第三の三の七、同通知(保医発0305第7号)第1の8。

加算1の上乗せ要件には、現時点で注意点が2つあります。

  • 電子カルテの要件のうち「厚生労働省が認証する電子カルテ製品」は、認証制度そのものが検討中で、追って示されるとされています(疑義解釈その6 問1)。
  • 「電子カルテ情報共有サービスとの接続」は、全国で運用が始まるまでの当面の間、満たしているものとみなされます(施設基準通知 第1の8の4)。

歯科で院内処方が中心の医院の場合、電子処方箋の体制は「院内で調剤した薬剤の情報を電子処方箋管理サービスに登録している」ことを指します(疑義解釈その4 問1、歯科も同様)。

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マイナ保険証利用率30%——「どの月の数字で見るか」が実務の要

マイナ保険証利用率30%は算定月の3か月前の値で判定

利用率の要件で迷いやすいのは、「いつの数字で判定するか」です。

  • 判定に使うのは、算定する月の3か月前の「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」です。
  • 3か月前の値の代わりに、4か月前か5か月前の値を使うこともできます。
  • 数字は、社会保険診療報酬支払基金から医院に報告される値を使います。

たとえば12月に算定するなら、9月の値で判定します。

9月が30%に届かなくても、8月か7月の値が30%以上ならそちらを使えます。

利用率と健康相談の体制は、満たしていればよく、届出は不要とされています(施設基準通知 第1の8の4)。

つまり利用率は、届出のときに一度だけ確かめるものではありません。

毎月、算定してよい月かを確かめる数字です。

利用率が30%を下回った月の扱いについて、医科では「辞退の届出は不要だが、その月は算定できない」と示されています(疑義解釈その12 問3)。

歯科への適用は、2026年9月時点では明示されていません。

下回った月が出たときは、地方厚生局に扱いを確認してください。

利用率を上げる取り組みは、受付での声かけと掲示が中心になります。

毎月の報告値を院長とスタッフで見る習慣をつけておくと、算定漏れも算定しすぎも防げます。

院内掲示とホームページ掲載——載せるのは3項目

ホームページに掲載する3項目

施設基準のうち、医院のホームページに関わるのがこの部分です。

次の3項目を院内の見やすい場所に掲示し、原則としてホームページにも掲載します(施設基準通知 第1の8 (7)(8))。

  1. 診察室などで、オンライン資格確認で取得した診療情報を活用して診療を行っていること
  2. マイナ保険証の利用促進など、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいること
  3. 詳細な明細書を、患者さんに無料で交付していること

掲載の文面は、たとえば次のような書き方が考えられます(例文です。自院の体制に合わせて調整してください)。

医療DXへの取り組みについて

当院は、オンライン資格確認を行う体制を整えており、患者さんの同意のもとで取得した診療情報・薬剤情報を、診察室で確認して診療に活用しています。
マイナ保険証の利用を推進するなど、医療DXを通じて質の高い医療を提供できるよう取り組んでいます。
また、個別の診療報酬の算定項目がわかる明細書を、無料で発行しています。

押さえておきたいルールは3つです。

  • 自院で管理するホームページがない場合は、ホームページへの掲載は求められていません。
  • 院内掲示は、デジタルサイネージでもかまいません。ただし数分以内に一巡させ、紙の掲示物も備えて、紙で見られることを示しておく必要があります(疑義解釈その10 掲示事項 問1、2026年7月17日)。
  • 一部で「ホームページ掲載は令和9年5月31日まで猶予」と書かれていることがありますが、告示の経過措置と施設基準通知の全文を確認した限り、この加算にそうした経過措置の規定は見当たりません。

ホームページのどこに載せるかは、施設基準をまとめた専用ページに並べて載せるのが実務的です。

ページの作り方と、そのほかの掲載項目は次の記事で解説しています。

届出の出し方——様式1の6を地方厚生局へ

届出は様式1の6を地方厚生局へ
  • 様式:別添7の「様式1の6」に、基本診療料の施設基準等に係る届出書を添えます。
  • 提出先:地方厚生(支)局(都道府県事務所)です。
  • 算定開始:月末までに受理されれば翌月1日から、月の最初の開庁日に受理されればその月の1日から算定できます。
  • 再診の2点:初診の加算を届け出ていれば、追加の届出は不要です(疑義解釈その5 問1、歯科も同様)。
  • 区分を上げる:加算2から加算1へ移る場合は、改めて届出が必要です(医科の疑義解釈その12 問2)。

なお「届出期限は5月7日」と書かれている記事もありますが、5月7日は6月算定分の受付が始まった日で、期限ではありません(施設基準通知 第2の7)。

まだ届け出ていない医院も、要件を満たしていればこれから届け出ることができます。

よくある誤解3つ

よくある誤解一次資料での扱い
旧加算を届け出ているので、そのままでいい6月以降は再届出が必要(疑義解釈その1・歯科 問2)
初診9点と再診2点は同じ月に両方取れる同じ月はどちらか一方(疑義解釈その4 問4、その6・歯科 問1)
ホームページ掲載は令和9年まで猶予があるこの加算の経過措置として規定は見当たらない(告示 第十二・施設基準通知)

今日からできる一歩

今日の一歩は、自院のホームページに「医療DXへの取り組み」の3項目が載っているかを確認することです。

  • 載っていない——院内掲示の内容を、施設基準のページに追加する
  • 旧加算の文面のまま——2026年6月以降の加算名と内容に更新する
  • 載っている——次は、毎月の利用率を院内で確認する仕組みを作る

確認は5分で終わります。

ホームページの掲載は、先生の医院が「体制を整えている」ことを患者さんに伝える場所でもあります。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 「医療DX推進体制整備加算」で届出をしていました。何もしなくていいですか?

2026年6月以降は、後継の電子的歯科診療情報連携体制整備加算として改めて届出が必要です(疑義解釈その1・歯科 問2)。

届出が受理された月の翌月1日(月の最初の開庁日に受理されればその月の1日)から算定できます。

Q2. マイナ保険証の利用率はどこで確認できますか?

判定には、社会保険診療報酬支払基金から報告される「レセプト件数ベースマイナ保険証利用率」を使います。

算定する月の3か月前の値、または4か月前・5か月前の値で判定します。

Q3. ホームページがない医院は算定できませんか?

自院で管理するホームページがない場合、ホームページへの掲載は求められていません(施設基準通知 第1の8 (8))。

院内掲示は必要です。

Q4. 電子カルテを入れていないと加算1は取れませんか?

加算1の上乗せ要件は「電子処方箋の体制」「所定の電子カルテ」「電子カルテ情報共有サービス等の活用」のうちいずれか1つです。

電子カルテがなくても、電子処方箋の体制を満たせば加算1の対象になり得ます。

自院がどれに当てはまるかは、レセコン・電子カルテのベンダーにも確認してください。

Q5. 利用率が30%を下回った月は、辞退届が必要ですか?

医科では「辞退の届出は不要だが、その月は算定できない」とされています(疑義解釈その12 問3)。

歯科への適用は2026年9月時点で明示されていないため、該当する月が出たら地方厚生局に確認してください。

参考にした一次資料

本記事は2026年9月26日時点の情報です。今後の疑義解釈・事務連絡で取扱いが変わる場合があります。

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この記事の監修:現役歯科医師(Dentique Atelier代表)

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